大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成8年(行コ)79号 判決

控訴人

甲野花子

右訴訟代理人弁護士

小川彰

島﨑克美

髙綱剛

齋藤和紀

山村清治

被控訴人

地方公務員災害補償基金千葉県支部長沼田武

右訴訟代理人弁護士

橋本勇

滝田裕

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求める裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が平成元年一二月一八日付けで控訴人に対してした控訴人の亡夫甲野太郎に係る地方公務員災害補償法の規定による公務外認定処分を取り消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文第一項と同旨。

第二事案の概要及び証拠関係

事案の概要は原判決「事実及び理由」中の「第二 事案の概要」に記載のとおりであり(ただし、原判決書七頁二行目(本誌本号〈以下同じ〉67頁2段16行目)の次に行を改め「(右(一)ないし(三)の事実は当事者間に争いがない。)」を加える。)、証拠関係は原審及び当審記録中の証拠関係目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

第三当裁判所の判断

一  当裁判所も、控訴人の本件請求は理由がないと判断する。その理由は、次のとおり付け加えるほかは、原判決「事実及び理由」中の「第三 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決書八頁八行目(67頁3段11行目)の「〈証拠略〉」を「〈証拠略〉」に改め、九行目(67頁3段11行目)の「〈人証略〉」の次に「、〈人証略〉(いずれも原審)」を加える。

2  同九頁一一行目(67頁4段7行目)の「そのため」から一〇頁一行目(67頁4段8行目)の「不可能となり」までを「その結果脳血流が急激に著しく阻害されたため〈2〉点あたりでは意識朦朧となって正常な運転操作をすることができない状態となり、その状態で右地点あたりでハンドルを左に切ったがその後は運転操作をすることが不可能となり」に改め、一〇頁三行目(67頁4段12行目)の「歩道縁石」の次に「(ただし、一段の高さ約一五センチメートルの縁石が階段状に二段に設置されたもの)」を加える。

3  同一八頁二行目(69頁1段12行目)の「しかし、」の次に「右両名はいずれも青年が飛び出したのを目撃したのではない。」を加える。

4  同二〇頁一〇行目(69頁3段5行目)の「意識を」から二一頁三行目(69頁3段12行目)の末尾までを「その結果脳血流が急激に著しく阻害されたため正常な運転操作をすることができなくなって前記一1(三)のとおり暴走したものと認めるのが最も自然であり合理的である。当審における鑑定の結果中にも右認定、判断に抵触する部分はない。」に改める。

5  同二二頁四行目(69頁4段2行目)の「しかし、」の次に「本件事故は前記態様のものであり、これによれば甲野が本件事故により頭頸部挫傷の傷害を被る機会があったとは認め難い。樋上医師は頭頸部挫傷が存在したと仮定した上で前記のとおり甲野の死因に関する意見を変更したのであるが、右の仮定は、事故の二日後の葬儀の際に甲野の遺体の左後頸部から左肩部にかけて皮下出血痕が存在したことを前提とするものである。しかし、葬儀の際に皮下出血痕があることを目撃したと述べる原審(人証略)の証言部分(及び同人作成の〈証拠略〉)は、目撃状況が不自然でありにわかに採用し難いし、仮に皮下出血痕様のものを見たとしても、前記のとおり樋上医師らが死体検案等をしたときには甲野の体に皮下出血等がなかったこと並びに(証拠・人証略)によると、これが真実頭頸部挫傷による皮下出血痕であったとまで認めることはできない。したがって、樋上医師の前記変更後の意見はその前提において正当なものと認めることができない。そして、」を加え、同頁一〇行目(69頁4段14行目)の「停止しない」を「停止せず瞬間的に意識が喪失するものでもない」に改める。

二  よって、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 新村正人 裁判官 加藤英継 裁判官 北澤章功)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例